学術的質の担保|Scientific Criteria
医療水準評価にあたっては,医療の質とは何かを定義した上で,それを把握し,適切に評価する必要があります.枠組みの設定にあたっては,plan-do-study-actやstructure-process-outcomeなど,各領域の構成概念を考慮して評価指標を検討・設定することが有用です.枠組みを検討する際には,単一の視点だけでなく,多角的な視点を反映させることが重要です.患者・市民の視点を考慮してperformanceの定義を明確化する一方で,臨床現場が理解・納得し,実際に改善可能な指標であるかどうかという視点は,評価を実践する上で欠かすことができません.加えて,評価枠組みが一部だけでなく対象とする分野の医療の質を広く捉えているかどうかを検証することも重要です.例えば,手術や投薬といった治療内容だけでなく,治療法の選択に関する判断も医療の質に含めるべきか,といった視点から評価枠組みを検証していく必要があります.既存の枠組みと比較して妥当かどうかを検証するという視点も重要です.
データの品質管理については,「計画」,「データ収集過程」,「(データ収集終了後の)監査」,といった各段階において方法論の構築を行っています.具体的には,「計画」では,評価対象とする医療水準の決定や入力項目・項目定義の明確化および標準化のためのサポート,「データ収集過程」では,入力率や欠損データに対する入力担当者へのフィードバック,「(データ収集終了後の)監査」では,第三者による検証(入力データと医療現場で記録された診療記録との照合(verification))などがあげられます.これらの取り組みによって,accuracy(正確)でprecision(精確)なデータの収集,データの追跡可能性の保証が期待されます.データの人為的ミスやバイアスへの対策・管理や妥当性の評価,継続的に医療の質を評価するための体制づくり行っております.
当講座では上記の課題を継続的に改善するための学術的な枠組みの構成とその体系化に取り組んでいます.